冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す


「どうかした? そういえば今日元気ないよね。前の会社のこともあるし、まだ体調に波があるのかなと思ってあえて聞かなかったんだけど……もしかして、なにかあったの?」

真っ直ぐに見てくる瞳に、少しためらってから口を開く。

「たとえば、なんですけど。恋人がいるのに、他の異性を部屋に泊めたりすることって珍しくないんでしょうか」

土曜日から丸二日間、ずっと考えていた。
もしかしたら岩倉さんは恋人がいるんじゃないかって。

『恋人ではないにしても彼の隣を許された出穂さんが、そんな自信のない顔してたら、他の子はどう思うかしら』

御法川さんが私を恋人じゃないと言いきったのは、御法川さんが岩倉さんの恋人を知っているか、もしくは彼女がそうだからなんじゃないかと、何度も考えた。

もしも私が恋人の立場だったら、他の異性を部屋に泊めて、しかも体の関係まであったりしたら絶対に嫌だ。
でもそれはあくまでも私の恋愛観であって、大人な岩倉さんや御法川さんには、私には理解できない関係があるのかもしれない。

そう思ったから聞いたのだけれど、江並さんは「いや、ありえないでしょ」と断言した。

「普通に考えてないよね。学生とかでさ、電車が泊まっちゃってしかも泊まる場所もなくてっていうのはまだわかるけど、もう大人だもん。ホテル代だってタクシー代だってあるし、最悪ネットカフェとかでもいいわけじゃない? なのに恋人がいる身で、あえて異性を部屋に泊める意味がわからない」

不可解そうに言った江並さんが「だってそんなの絶対ケンカの種になるしね」と続ける。


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