冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す


「大丈夫です。あの、なにかミスしたでしょうか……?」
「え? ミス? ……は、してないんじゃないかな。部長もなにも言ってなかったし」

キョトンとした顔で返されホッとする。

「そうなんですね。よかった」
「うん。あのさ、これ。男性社員からホワイトデー」
「あ、ありがとうございます」

受け取ったのはB6サイズほどの紙袋で、中には透明なビニール袋に入ったクッキーと、薄い箱が入っていた。

箱の中はブランドのミニタオル。
白地に黒猫のシルエットが描かれていて可愛い。

「可愛いですね。ありがとうございます。使わせていただきますね」

そう答えた私を見て、本島さんはホッとしたように顔をほころばせた。

「あ、本当に? よかった。さっき筧さんに渡したら、趣味が悪いって言われちゃってさ。今年は俺が選んだから、ちょっとへこんでたんだ」
「あ……筧さんは、オシャレなので特別意識が高いだけかと。私は普通に可愛いと思いますし、嬉しいです」

自分が選んだものをそんな風に言われたらショックを受けるのは、簡単に想像できる。
みんなから集めたお金で購入したものなら余計にそうだ。

だからなんとかフォローしたくて焦っていると、そんな私を見た本島さんがふっと笑う。

「ありがとう。気を遣わせちゃってごめんね。でも、出穂さんが喜んでくれてならよかった」
「はい。すごく嬉しいです」

私のできる限りで力強くうなずいて見せる。
すると本島さんは、照れたような笑顔を浮かべた。

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