冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す
『おまえ、まさか、俺がおまえを抱くのも治療だと思っていたのか?』
『違くはないだろ。これも愛情表現のひとつだ』
『今までもそのつもりだったのに、まさか伝わってなかったとは思わなかった』
本当の本当に最初の頃から私をそんな風に思ってくれていたのかとわかり、胸の奥からじわじわと嬉しさがこみあげる。
岩倉さんは、顔立ちが整っていてシュッとしていて背も高い。腕利きの弁護士で、高級マンションに住んでいる、完璧な人だ。
そんな岩倉さんがどうして私を選んでくれたのかは、今の私にはただの幸運としか思えないけれど……。
岩倉さんが、私以上に私自身を大事にしてくれるので、きっとそのうちにその答えもわかるときがくるのかもしれない。
女は愛されて自信をつけると誰かが言っていたのを思い出す。
「あの」
話しかけると、岩倉さんが私に視線を向ける。
「私も岩倉さんが好きなので、下心含め、今後も一緒にいたいです。なので……不束者ですが、末永くよろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げた私に、岩倉さんは目を見開いたあと、口元を覆い「……ああ」と言った。
岩倉さんはすぐ顔を逸らしたけれど、その耳が赤かったことに気付いてしまい、思わず笑みがこぼれた。