ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
「香津美さん、それって聖壱さんから……?」
素直な月菜さんは思ったことをそのまま口に出してしまったようで、焦って両手で口を押さえてるけれどもう遅いわ。昨日の夜の出来事をこんな純な子に知られてしまって、恥ずかしさで全身が茹ってしまいそうよ。
もう聖壱さんも柚瑠木さんも絶対にいつか「ぎゃふん」と言わせてやるんだから!
「す、すみません!私……鈍くて気付けなくて。」
そんな私の様子を見て申し訳なさそうに謝る月菜さん。だけどそれも仕方ないと思うの、契約結婚から始まった私と聖壱さんが、そんな関係になったのはつい最近の事なんだもの。
それに、その事で月菜さんが契約結婚について深く考えすぎないようにと詳しくは話さないでいたし。
月菜さんが一瞬沈んだ顔をしてしまい声をかけようとすると、彼女はすぐに頬をピンクに染めて……これは昨日の夜2人に何か進展があったのだとピンと来た。
「気にしないで。もし誰が悪いのかと言えば、こうなった原因を作った柚瑠木さんだけなんだから。でも……何かあったのは私達だけじゃなかったみたいね?」
「ふふふ」と意地悪く微笑んで見せると月菜さんは少し驚いた顔をした後、明らかにソワソワしだす。これはきっと誰かに聞いて欲しいんでしょうね。
「月菜さんが頬を染めて微笑んでしまうような事、私も知りたいわねえ?」
もしかしたら月菜さんは、柚瑠木さんに怒られないかを心配しているのかもしれない。そんなの気にせず話しちゃえばいいのよ。首をかしげて「ね?」と急かせば、月菜さんは観念したように話し始めた。