ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~


 夕飯とお風呂を終えて、ベッドで寛ぎながら妹とメッセージのやり取りを楽しんでいる。妹の【なほ】は口下手で無表情な子だったけれど、今あの子の傍にいてくれる男性のお陰で前よりずっと明るく表情豊かな子になった。
 彼が自分の元婚約者でなければ、もっと素直に2人の事を応援できたかもしれない。意地になって二人の仲を引っ掻き回したのに、こうやって今とても幸せだと報告してきてくれる。

『私も、今とても幸せよ。今の旦那様にとても愛されているもの。』

 惚気られたら、私だって同じように返すわ。いきなり結婚が決まり妹も心配していたけれど、こうして私はいまとても満ち足りた新婚生活を送っている。
 ……聖壱(せいいち)さんがどんどん意地悪でやらしい事ばかりしてくるのが問題だけど。

「へえ、香津美(かつみ)は俺に愛されて幸せか……」

 ゾクッ、いつの間にか後ろに立っていた聖壱さんに耳元で囁かれて、身体が勝手に反応する。決して快感などではなく、嫌な予感を察知して。
 振り向きたくないけれど、そのまま勝手に話を進められるわけにもいかないのでゆっくりと彼の方に視線を向けると……

「今夜も香津美を思いきり愛して、とびきり幸せにしてやるからな?」

 にっこりと微笑んで言われた一言に、今すぐここから逃げ出したい気持ちになった。昨日の今日で冗談じゃないわ!


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