ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
「……へえ、そうだったの。上手く甘えることが出来て良かったわね、月菜さん。」
それから次の料理教室の日。いつもよりもほわほわとした雰囲気の月菜さんに、すぐに柚瑠木さんと上手くいったことが分かった。すぐに言いたくて堪らないという表情の月菜さんから話しを聞いて……
思い出しながらも幸せそうに話す月菜さんにこっちの方まで、ふわふわした気持ちになりそうだわ。
「はい、香津美さんのアドバイスが取っても役に立って。自分が柚瑠木さんにして欲しいと思ったことをちゃんと伝えることが出来たんです。」
「それは良かったわ。勇気を出した月菜さんの頑張りが柚瑠木さんにも通じたのね。」
素直に喜ぶ月菜さんが可愛くて、つい彼女に対しても妹のなほにしていたように優しく頭を撫でてしまう。でも月菜さんはそれを怒ったりせず、そのまま私に頭を撫でさせてくれた。
彼女といると心が安らぐ気がする、私にとって月菜さんはもう特別な存在になっていた。
「あの……具体的にはどんなふうに旦那さんに甘えてみたのか、聞いてもいいでしょうか?」
先程まで私たちの話を静かに聞いていた鏡谷 杏凛さんがおずおずという感じで私達の話を細かく聞いてきた。少しだけ恥ずかしそうなのは、質問の内容のせいかもしれない。
「……え?杏凛さん、貴女も匡介さんに甘えられないでいるの?」
まだ杏凛さんとは付き合いが浅い事もあり、彼女の夫婦関係がどんなものなのかは分からない。私が今分かっているのは、ただひたすら夫の鏡谷 匡介さんが過保護だと言う事だけで。
「あ、ごめんなさい!私なんかが勝手に話に割り込んでは駄目ですよね……でも、私も夫への甘え方が知りたくて。」
私たちの中では一番年上で、普段は落ち着いている杏凛さんにこんな表情をされると何だかむずむずしてくるじゃないの。
真面目な彼女を揶揄ってはいけないと思いつつ、私は杏凛さんに逃げられないように笑顔を絶やさずに言った。
「駄目なんかじゃないわよね、月菜さん。それじゃあ、ゆっくり三人でお話ししましょうか?」
柚瑠木さんと匡介さんに「三人で少しお話をするから」と電話で伝え、聖壱さんに「後はよろしく頼むわね」とメッセージを送っておいた。
とにかく心配症の男達だから、これでいいでしょう。