ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
「だってそうだろ? 俺に隠れてこっそり実家に戻って、帰って来るなり大切な話なんて。離婚した部下の口からそんな話を何回聞いたか!」
確かにそんな形で離婚話になっていく夫婦もいるかもしれないけれど、いくら何でも勘違いが酷いわ。いつも無駄に前向きなくせに、こんな時に限って悪い方に考えるだなんて。
私はもっと落ち着いた雰囲気で、聖壱さんに大事な事を伝えたいと思っていたのに。もう、知らないわ!
「離婚じゃないわよ! 私は妊娠したかもしれないって話をしようとしてたんじゃない、この鈍感!」
いつも私は聖壱さんにペースを乱されて、自分の思い通りに行かない事ばかり。でもこんな風に何でも言いたいことを言える関係なのは悪くないと思う、私は我慢が苦手だしね。
「……は? 今、なんて……」
「だから、赤ちゃん! 私と聖壱さんの赤ちゃんが出来たかもしれないの」
ハッキリと言ってみたけれど、聖壱さんはさっきの言葉が信じられないとばかりに、キョロキョロと視線を彷徨わせている。
これはちょっと予定になかった反応だわ。しかし、このままでは話が進まないと思って……
「でもね、まだ検査していないからハッキリと妊娠したって決まってるわけじゃなくて……って、きゃあっ!」
言葉の途中で聖壱さんはソファーに座っていた私の背中と膝裏に手を差し入れて、そのまま抱き上げたのだった。