好きだよ。。。
仕事が終わったら、8時50分だった。急いで翔太君にメッセージを送る。

【つぐみ】待たせてごめん、翔太君。やっと終わった。まだ、TOLLY’Sにいる?」

すぐに返信がある。

【しょーた】いるよ。本を読んでたから、あっという間だった。会社の前まで行こうか?

【つぐみ】いいの?今から降りていけば、ちょうどくらいだろうけど

【しょーた】迎えに行くね。なに食べたいか考えといて。

急いでエレベーターホールに向かう。エレベーターが2台とも1階に泊まっているのを見ると、私は階段を駆け下りた。

ビルの前には、スーツ姿の翔太君が立っていた。スーツ、すごく似合うけど、日曜日はカジュアルウェアを見られるのよね。そんなことをふと思った。

「遅くなってごめんね。お腹空いたでしょ?」

「もう、ぺっこぺこだよ。カプチーノだけじゃ、お腹たまらないよね」

「えっ・・・サンドイッチでも食べておくって言ってなかったっけ?あったでしょ?」

「そりゃ~、つぐみちゃんがお腹空かせたまま仕事してんのに、俺だけ食べられないだろ?」

「優しいんだ、翔太君」

「そりゃ、ね。好きな子に優しくできなかったら、男として駄目だろ」

好きな子・・・そっか、私たち、付き合い始めたんだよね。顔が紅潮してくる。

「私も、気になってる男の人と夕食出来るから、って仕事がんばった」

「気になってる・・?『好きな人』じゃないの?」

翔太君がちょっと拗ねたような試すような調子で言う。

「好き、です・・・」

顔がますます赤くなる。好き、とかそういう言葉を言うのが私はどうも苦手だ。でも、翔太君はいとも簡単にその言葉を口にする。





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