好きだよ。。。
「ここが、お好み焼き屋さん?」

パステルカラーの、花柄ではないけど、花をイメージさせるような色遣い。ホントに花畑みたいだ。

翔太君は、私の手を引いて暖簾をくぐると

「予約していた神田ですけど」

えっ、予約?いつの間に?

「お二人様ですね。お座敷の席に案内いたします。どうぞこちらへ」

浴衣柄の制服を着たスタッフさんが案内してくれる。個室の座敷だった。席に座ると、翔太君に聞いた。

「予約なんて、いつしてたの?」

「実は、フライングでつぐみちゃんに会う前に予約してたんだ。金曜日だから、どこも予約しないと待つでしょ」

翔太君の気遣いが嬉しい。きっと、仕事でも気が回る方なんだろう。

「ありがと。素敵な店、予約してくれて」

「気に入ってくれて嬉しいよ。同期のやつらとよく来るんだけど、マジでおいしいから、ここ」

自信満々に店を褒める翔太君。可愛い。

「えっと・・・メニューは・・・」

「あぁ、ここはタッチパネルだよ。これ。どうする?飲み放題、食べ放題にする?食べ放題だと、お好み焼きのサイズがハーフだから、いろいろ頼めるよ」

さすが、常連さん。頼もしい。

「いろいろ頼めるの、いいね。食べ放題にしよ!私、お腹ぺこぺこ!」

「俺も。飲み物は?飲み放題でいい?」

「うん。なんか可愛い。『さくらプリンセス』『紫陽花ステップ』『たんぽぽロマンス』これ、みんなノンアルコールカクテルでしょう?」

「つぐみちゃんが好きそうだな、と思ったんだ。けっこ、ロマンチストでしょ」

えっ・・・そんな風に見られてたんだ。確かに夢見がちではあるけれど。

「なんか、恥ずかしいな。会ったばっかりなのに、翔太君には私のこといろいろ知られてるみたいで」

ふと、翔太君が私を見つめて言った。

「もっと、もっと、知りたいよ、つぐみちゃんのこと。まだまだ、知らないことばかりだ」

どきんっ。そんなにまっすぐに見つめないで。

「わ、私も翔太君のこともっと知りたい。大好きだ、っていう仕事のこととか、趣味の絵とか写真のこととかも」

「ゆっくり知り合って行こう。2人はずっと一緒だから」

ボッ!赤くなってしまう。なんでそんなに私の言ってほしいこと、言うかなぁ。

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