飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
梓乃らしくない言葉に一瞬耳を疑いそうになる、まさかジジイってお父様の事? だけどそんな事をちゃかせるような雰囲気ではなく、私と櫂さんは顔を見合わせる。
きっとこんな言い方をしているけれど、梓乃もその相手の男性との幸せになれるかと不安でいっぱいなはずだから。
私たちのように親に決められた結婚で上手くいかなかったり辛い思いをすることは少なくはない。それでもわずかな期待を胸に秘めているのは、梓乃だって同じなんだ……
「梓乃、貴女は……」
「変な事言ったわ、気にしないで。私なんか誰と結婚したって、何かがそう変わるわけないでしょうし」
そう言った梓乃の表情は寂し気で、とても放っておけなかった。鞄を持ってさっさと一人でレストランを出ていこうとする彼女の手を掴んでしまう。
……まだ結婚相手とまともに顔を合わせていない、そんな内から諦めてしまうのは早すぎるって。
「もし梓乃が不安なら私が傍についててあげる、それでも駄目なら私がお父様に……!」
「あのジジイがそんなこと許してくれるわけないでしょう? こんな話をお父様が聞いたら、それこそ姉さんが何を言われるか!」
確かに梓乃の言う通り私には彼女のために何でも出来るわけじゃない。父にとって厄介な存在の私が梓乃のために力になれる事は決して多くない。それでもこのままにはしていたくない……