飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
今度は梓乃も素直に頷いてくれた。私だけでは頼りないのかもしれないけれど、櫂さんが味方になってくれれば安心出来るはず。
そう思っていたけれど、梓乃は違ったようで……
「前からずっと思ってた、あの家で一番強くてしっかりしてるのは姉さんなんだって。それが羨ましくて、少し嫉ましかったけれど」
「梓乃……」
今までそっけなかった妹からの思わぬ言葉に、胸がいっぱいになる。誰も自分のことなんて見てない、そう思ってたのにそれは私の思い込みだった。
梓乃はずっと私の事をそんな風に思ってくれていたのね……
「幸せになるのは当然なのよ、あの家で姉さんは一人で頑張ってきたんだから。でも私は何年もの間、ただ見ているだけだったわ。だから……」
だから? 梓乃は幸せにはなれないとでも? そんなはずはない、あの家で梓乃だって十分頑張ってきたはずだもの。勉強だって色んなお稽古だって文句一つ言ったりしなかった、そんな梓乃の努力を私は知っている。
「そんなの関係ない、私は梓乃に幸せになって欲しいもの。姉として!」
たとえ母親が違っていても、妹の幸せを願ってもいいはず。そう思えば今まで以上に力が湧いてくる気がした。
「どんどん強くなっていくな、千夏は。そんな人に対して一生懸命な所も魅力的なんだけど」
揶揄うように言う櫂さんをちょっとだけ睨んで、私は梓乃の手を取って強く握る。真剣な気持ちを少しでも彼女に伝えられるように、と。