飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「わあ、良い匂い。イチゴの甘酸っぱい香りだけで幸せな気持ちになれちゃいますね」
連れてきてもらったいちご園のハウスの中、私はその香りにテンションが上がり隣にいる櫂さんの腕を引っ張ってしまっている。
栽培されているイチゴは色んな種類があり、食べ比べることが出来るそう。スタッフさんの説明を聞いた後、いざいちご狩りへ。
「大きい! 見てください、櫂さん。こんな大きなイチゴがありますよ」
「はは、摘むのは良いがちゃんと食べれる量にしなきゃだめだからな。いくら千夏にとってフルーツが別腹でもその胃袋は底なしじゃ無いんだろうから」
さっきの発言を蒸し返されて私はムッと頬を膨らませる。言われなくてもちゃんと分ってるのに、まるで子ども扱いされてるようで納得がいかない。
「またそうやって意地悪を言って! いいです、もっと大きいのを見つけても櫂さんには教えてあげませんから」
そうやって返す言葉がまた子供っぽいことには気付かないまま、私は櫂さんから離れ美味しそうなイチゴを探してウロウロする。
種類によって形や色も違うし、それぞれの味と香りも楽しめる。私が夢中になってイチゴを摘んでいる姿を櫂さんが遠くから見て微笑んでいるなんて、その時は全く気付いていなかった。