飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
今までどんな逆境にも耐えてきて、それなりに自分は強い人間だと思ってた。出来る事は少なくても、やれば出来るはずだと子供の頃から負けん気だけは強かった。
あの屋敷に閉じ込められてる間、ただ我慢を重ねた日々はきっと自分を鍛えたはずだと。それなのに……
「私、いつからこんな弱くなったのかしら。妻としての役割も満足に出来ないなんて、このままじゃ櫂さんに嫌われちゃう」
契約結婚ということで、私は櫂さんに一度だって体の関係を求められたことはない。確かに彼は冗談で私を揶揄う事はあるけれど、決してキス以上の行為をしようとはしない。
それが私のためだと言うことは分かっているつもりだったけれど、家庭のことさえ満足に出来ない今の私に妻としての存在価値があるとは思えなくて……
「だけど、私は何をすればいいの?」
コソコソと調べるにも私が出来る事には限界がある。プロに調査を依頼するための自由になるお金も私にはない、考えれば考えるほどに頭の中はこんがらがっていく。
梓乃が教えてくれた、高宮さんの話もまだ事実確認は出来てない。やるべき事はたくさんあるのに、どれから手を付けるべきなのか答えが出なくて。
……そんな状況だったから、普段は出ないようにしていたあの人からの電話番号に気付けなかったのかもしれない。
「千夏《ちなつ》、お前に大事な話がある。明日、二階堂の屋敷に来るように」
一方的にそれだけを伝えて切られた電話に、私はただその場で戸惑っているだけだった。