飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
櫂さんは料理の出来ない私に丁寧に教えてくれて、上手く出来たときは大げさなくらい褒めてくれた。ずっと怒られたり嫌みを言われて育ってきた私には、そんな彼の言葉が嬉しいけれど照れくさくて……
「いいです、そんなに何度も褒めてくださらなくても。こんなの小学生の子供でもできる事ですから」
いくら二人きりとはいえ、今日一緒に暮らし始めたばかりの相手からこんなに甘やかされてはどうにかなってしまいそう。厳しくされることには慣れていてもこんな状況は慣れてないのだから。
「俺は千夏を褒めたいから褒める。今までのお前に足りて無かったもの、欲しがってたものはこれから俺が全部与えたい」
私に足りて無かったもの、欲しかったもの……どうして櫂さんにはそれが何なのかが分かるの? 彼の言う通り私は本当はずっと家族に褒めてもらいたかった、ずっとあの家の中で必要とされるのを待っていた。
だけど、私が必要とされたのは二階堂の家のためのこの結婚だけ。それなのに……
「櫂さんは……本当に私の事を必要としてくれるんですか?」
「当たり前だろ。でなきゃ、あんな常識外れな結婚の申し込みなんかするもんか」
ちょっと照れた様子で私から視線を逸らす櫂さん、彼が父たちにどんな結婚の申し込みをしたのか知らない私はその光景を想像しクスリと笑ってみせた。
……もしかしたら、この結婚も櫂さんと二人ならば上手くやっていけるかもしれない。この時、私たちの結婚が契約結婚だという事も忘れ幸せな気持ちになっていた。