独占欲が止まらない。クールな社長の裏の顔。
うーん…眩しい。
カーテン閉め忘れたのかな。まだ眠いのに〜。
そう思い布団を足で挟みゴロンと寝返りを打とうとしたら

「おい」

あれ?
おい??

「挟むな!」

あれ?
寝ぼけ眼でなんとか目を開くと目の前には社長の姿が…

うわぁ!

私は飛び起きた。私が布団だと思って挟んでいたのは社長の足だった。抱きついていたのは社長の胸だった…。
なにがどうなってるの?
ここどこ?

思い出せず固まってる私に社長は
「お前、ご飯食べたら寝たぞ。起こしたのに起きやしない。子供か!」
と突っ込んできた。

「うわぁ。申し訳ございません。」

「お前の『申し訳ございません』は聞き飽きた。仕方ないからタクシーに乗ったが家を教えてくれず仕方なくうちに連れてきた。」

「も、申し訳…」

「だから聞き飽きてるって。」

「とりあえずお前シャワー浴びてこいよ。そっちのドアから行ける。タオル置いてあるしシャンプーとかも使っていいから。着替えは適当に出しとくから。」

「そんなご迷惑おかけできません。これで失礼いたします。」

そう告げるが私は強引にバスルームへ放り込まれた。鏡を見るとメイクは崩れ、そのまま寝たのでスカートもブラウスもシワだらけ。ひどい惨状になってる。社長は見るに見かねてシャワーを貸してくれたのだろう。有り難く入らせていただいた。
シャワーを浴びると洗面台にTシャツと短パンが置かれており拝借させていただいた。160の私には185の社長の服は子供が来ているようで滑稽だが致し方ない。

「社長ありがとうございました!」
そうシャワーから出てくると社長もシャワーを浴びたようで髪が濡れていた。

「俺も向こうで浴びてきた。さっぱりしたよ。朝飯食うか。」

社長が作ったのかハムエッグとコンソメスープが置いてあった。ロールパンも今焼き上がったようだ。

「社長、何から何までありがとうございます!有り難くいただきます。2度とこのようなことがないように致します。ただ、大変言いにくいのですがブラウスと洋服が凄いことになっておりまして…洗濯させていただけませんでしょうか。」

「後でコンシェルジュに持って来させるから気にするな。さぁ、食べよう。温かいものは温かいうちに、だろ。」

「はい!その通りです。」

2人で向かい合い朝食をいただく。
ロールパンなのにいつもと違う!少し甘めの味に後からバターの香りが鼻を抜け、なんて言うかはじめての味だった。

「美味しいですね!」
それだけ伝え私は無言で朝食を頂いた。コンソメスープは細かく切った野菜がたくさん入っており栄養バランスが良さそう。セロリがポイントになってて美味しい。

社長も何も言わず食べ始めた。

お互い無言で朝食を頂いたところで社長がコーヒーを入れに立ち上がる。
私に入れさせてください!私の十八番(おはこ)ですから。

「十八番ね。あはは。じゃ、お願いするよ。」

私は食器を洗いながらコーヒーの準備をする。
その間に社長はどこかへ電話をしに行ってしまった。

コーヒーをダイニングに置くと社長は戻ってきて、また2人で向かい合わせのまま頂く。

ヤダ、まったりしちゃった。
私ったらどうしてこうなのかしら。

「社長、わたしそろそろお暇します。」

「何か予定があるのか?」

「いえ、特には。ただ、他人がいては社長も休まらないだろうと思いまして…。」

「予定がないならゆっくりしてけ。洋服もそのうち届くから。映画でも見るか?」

普段の社長とは違いなんだか身近に感じる今日の社長。昨日の吊橋効果なのかしら。

コーヒーを持ちリビングへと移動する。 
少し前話題になった映画がちょうど配信されており私たちはお互い、コレ、と指を差し決めた。 
映画を見終えるとあれこれお互いの感想を話し、笑い合った。 

ピンポーン

コンシェルジュが洋服を調達してきてくれた。落ち着いたネイビーのワンピースにさらりとした白いカーディガンがセットされている。
早速私は着替えさせていただいた。
素敵。無難な組み合わせなのに生地がいいのか形がいいのか普段の私とは違う大人に見える。

「おぉ、化けたな。」
クスクス笑いながら社長は話しかけてきた。
それってほめてないじゃん、けなしてるじゃん。

でもなんだか昨日から社長、キャラ変わってない?
いつもはクールで多くは話さない、ましてや笑顔なんてお客様が来た時以外見たことない。いつでも社のトップとして引っ張っていく孤高の男って感じだったよね?私がミスしても怒らない。だから余計に怖かった。それが私の知ってる社長。
こんなに笑うなんて知らなかった…。
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