愛の距離がハカレナイ
「また電話する。私は祐介じゃないとダメなの。」

「そうか、じゃあ、俺は戻る。」

私はそんな愛しい人の背に向けて、ゆっくりと手を振る。

「大した男だな。」

南川課長がふっと気の抜けた笑顔を見せた。

「でも俺も絶対あきらめない。」

私がそんな南川課長に溜息をついた瞬間だった。

「あれ?水島さんが見えたので、外へ出て来たんですけど。」

はあはあと少し息を乱して出て来たのは、後輩の内田晴香。

私が法事で休んだ時、この南川課長を説教した強者だ。

内田さんはチラリと南川課長を見ると、苦笑いをする。

南川課長の顔にも少し緊張が見て取れた。

この2人…、本当に人間的に合わないのかも…。

そんな思いが胸をかすめた。

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