愛の距離がハカレナイ
「でも…。」

私は祐介の事をぽつりぽつりと話した。

「へえ~、武田さんって大事にされているのね。」

「えっ?」

「そんな人が居てくれたら、私も今頃既婚者だったかも。」

「どういうことですか?」

「私の仕事を尊重してくれる彼は私の前には出現しなかったって事。離れていても籍だけは先に入れてしまう事も出来るのよ。」

私の驚いた表情を見ながら、中山さんは優しい笑顔を見せた。

「そんな彼を放しちゃだめよ。」

そんな優しい言葉に見送られ、私は取引会社を出た。

何気ない会話のつもりだったけれど、ずっともやもやした私の気持ちに、一筋の光が差したような気がした。

「祐介‥、あんたはすごいらしいよ。」

そんな言葉をぼそりとつぶやいてしまった。

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