ロミオは、愛を奏でる。

「イト、おいしい?」



「うん!おいしい!
あ、リョーちゃんも…」



リョーちゃんが口をあけた



え…

食べさせて、いいの?



ドキ…

ドキ…

ドキ…



リョーちゃんが私に顔を近付けた



ドキン…



ビックリして手を引いた



「イト、イジワルすんなよ!」



「あ、ごめん…」



イジワルじゃなくて…


リョーちゃんは私に顔を近付けたんじゃなくて

私が持ってたフォークに口を近付けたのに…


勝手に焦った



フォークを持ってる私の手を

リョーちゃんが握った



フォークに刺さったケーキが

リョーちゃんの口に入った



ドキン…



リョーちゃんに見惚れた



「おいしいね」



「うん…」



リョーちゃんに握られた手が

熱を持った



「イト、食べないの?」



「リョーちゃん…」



ドキドキする



「ん?イト、なに?」



熱い



「ナル!元気だったか?」



「おー、久しぶり!
元気だよ」



リョーちゃんの同級生かな?

なんか、助かった



「海外勤務なんだって?」



「あぁ…また明日戻る」



「ゆっくり帰って来れる時に飲もうよ!」



「うん、連絡する」



「とりあえず二次会はナルも行くだろ?」



「もちろん!」



「じゃ、また後で!」



リョーちゃんは

ずっと海外勤務なのかな?



次に会う時は

イト何歳だろう



「リョーちゃん
友達のところ行かなくていいの?
久しぶりに帰って来たんだから
もっと話してきなよ!」



「イトと会うのだって久しぶりだろ
オレがいなくなったらイトひとりになるし
友達は二次会でまた話せるから大丈夫だよ」



「うん、ありがと」



ドキドキしてるのは

きっとイトだけで



リョーちゃんは

ただ

いつも優しいだけ



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