花筏に沈む恋とぬいぐるみ
「………もう見つからないのかもな」
「凛さん……」
「俺の体、燃やしてみてもいいのに」
「だめっ!」
「……何でだよ。俺の体なんだから好きにしていいはずだろ?おまえに言われる筋合いなんてない」
「……だめだよ。花浜匙はどうするの?テディベア作る人いなくなるよ。それに、そんな事で雅さんが喜んで成仏出来るなんて思えないよ」
「………じゃあ、どうしろって言うんだよ」
「それは………」
最近の凛は、とてもピリピリしていた。が、それでもこうやって弱音を吐いたり、強い口調になったりはしなかった。ぐっと我慢していたのだろう。
期限が迫り、解決策が見つからないことで、その気持ちが爆発したのだろう。
そんな彼に対して、花はもちろん怒るつもりにもなれない。むしろ、役に立てない事が申し訳なかった。
「………実は、今日の夜に十三師様に会うことになってるの」
「おまえの父親を見てもらった人か?」
項垂れていた凛は、それを聞いた途端にパッと顔を上げた。期待だけさせて結果が出たときに悲しんでしまうのではないかと思い、本当は伝えるつもりはなかった。
けれど、あんまりにも気が沈んでる彼を見ていると、すこしの間だけでも心を落ち着かせて欲しいと願い、伝えてしまったのだ。
「うん。その人に会ってくるから。でも……あまり期待はしないでね。何かわかったら伝えるよ」
「あぁ。解決するといいけどな」
その声は少しだけ明るさを取り戻している。
それを感じた花は少しだけ心配になってしまう。十三師から話を聞けることを祈るしかなかった。