夜明けの光をあつめながら
「仲良いんですね」

喧嘩するほど仲がいい。
その言葉をテレビで聞いた気がするけど、『まさしく今の二人にピッタリ』だと思った私は、そう言ってみた。

と言うか、『兄妹で外出するだけで仲がいい』と言える証拠にもなるはずなのに。

「どこが?このクソ兄貴」

でも私の言葉を、夏帆ちゃんは否定する。

まあでも私から見たら、それは『否定』と言うより『お兄ちゃんと仲がいいことを認めた言葉』に感じるけど。

ってか、『クソ兄貴』ときたか・・・・。
『怖い妹』は言葉通り怖い・・・・。

でもそんな『怖い妹』を沈めるのが、『伊織お兄ちゃん』だ。
また夏帆ちゃんの頬を掴んで、夏帆ちゃんを威圧する。

「・・・・夏帆ちゃん?」

「うっ・・・・、ごめんなさい」

夏帆ちゃんが素直に謝ったから、佐々木さんはすぐに手を離す。

そして佐々木さんは、再びメニューに視線を戻す。

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