極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

「あなた、隣同士ですって。よかったわね」


ふんと鼻を鳴らすだけだったが、そっぽを向いていた男性の頬がほんのりと赤くなる。

もしかしたら離れたシートなのではないかと心配していたのは彼のほうだったのかもしれない。口論をはじめたときにはヒヤッとしたが、じつは仲のいい夫婦のようだ。


「どうもありがとう。ご面倒をおかけしました」
「快適な空の旅をお楽しみくださいませ」


お辞儀をしてふたりを見送り、すぐ後ろに控えていた桐谷にバトンタッチする。彼は、美羽のやり取りや操作方法を小さなノートにメモしていた。


「藤倉さん、ありがとうございました」
「ううん。次からは平気?」
「はい。しっかりメモも取りましたから、あとで復習しておきます」


桐谷は元気よく返事をして、その後すぐにやって来たお客様の応対をはじめた。
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