極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
午後になり、空港内の人出が一気に多くなる。金曜日のため、週末をどこかべつの場所で過ごす人たちが増えるためだ。
ロビーで迷子になっている七十代の女性を国際線カウンターまで送り届けた美羽は、視線の遥か先にクルーを従えて歩く翔を見つけて足を止めた。パリ便の搭乗口へ向かう途中だろう。
パイロットやCAたちが空港内を歩くとそれだけで華やかさがあり、多くの人の注目を集める。人が潮のようにサーッと引き、道を譲っていく。颯爽と歩く彼の姿は、その中でも別格。とても絵になる。
以前だったら遠目では気づかなかった翔の姿を、すぐさま見つけられるようになったのはどうしてだろう。
美羽が立ち止まったのは、クルー一行が歩く道筋とは少し離れた場所。きっと翔は気づかずに通り過ぎていくはず。
そう予想したが、翔は隣のコーパイにひと言断って道筋を逸れ、美羽のほうに向かってきた。彼の後ろを歩いていたCAの視線まで連れてくるからハラハラする。
決して急がず、余裕のあるオーラをまとう翔が近づくにつれ、なぜか速まっていく鼓動。いっそのこと見なかったふりをして反対方向へ足を向けようと思ったが、命じられたわけでもないのに動けない。
美羽の前で立ち止まった翔が、屈託のない笑みを浮かべる。