極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
妊娠を知ってから今日までずっとひとりきりで抱え込んできたため、百合香のそのひと言が美羽の胸を震わせる。
翔にはもちろん両親にも言えず、ひとりぼっちだった。
どうしたらいいのかわからなくて、心細くて、誰かにすがりたかった。
「……兼平さん」
なんとか開いた口から漏れたのは、情けないほど震えた声だった。
「どうしよう……」
ポタリと涙まで零れる。
「えっ、藤倉さん、ちょっと待って」
泣くつもりなんてなかったのに、さらにもう一滴涙が頬を伝った。すぐにハンカチを取り出して涙を拭ったものの、泣いた事実はもう消せない。
急いで美羽の隣の椅子に移動した百合香が、背中を優しくさする。