極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

「ここじゃゆっくり話せないだろうから、仕事が終わったら話を聞かせてくれる?」
「でも、兼平さんは保育園のお迎えが」


時短勤務にしているのはそのためだ。


「後輩の一大事なんだもの。そっちは夫に任せるから心配しないで。子どもの面倒は妻だけに課せられるものじゃないでしょ?」


百合香の夫はオーシャンエアラインの人事部に所属している。翔とは同期入社で、ただひとり、美羽たちの契約結婚を知っている人物でもある。

本当は誰ひとりとして知らせたくなかったが、社内規定でそうもいかず、兼平にだけは報告していたのだ。他言無用と念押ししているから、妻の百合香も知らないだろう。


「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
「謝らないの。それじゃ仕事が終わったら、じっくり話を聞かせてね」
「はい」


気を取りなおして食事を続ける。向かいの席に戻った百合香とふたり、その後は他愛のない話をして休憩時間を終えた。
< 156 / 283 >

この作品をシェア

pagetop