極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
その情報を持ってきた人間に思わずすがりつく。心臓が早鐘を打ちはじめ、息もうまく吸えない。
「いや、大ごとだろう。右側のエンジンが止まったらしいから」
「嘘……」
視界がぐらりと揺れ、近くのデスクに手を突いた。
翔が登場している機体には二機のエンジンが搭載されている。その片方が停止した場合、当然ながら動力は半分になる。もちろんバランスだって崩れるだろう。
それも太平洋のど真ん中。緊急着陸できる空港はない。
「で、でも完全に停止したわけじゃないから大丈夫ですよね?」
なんとか望みを繋ぎたくて、必死にそれを探る。誰かに〝大丈夫だ〟と言ってほしかった。
しかしそんな重大な結論をこの場にいる人間が出せるはずもなく、誰も彼も深刻な表情で唇を噛みしめるだけ。オフィス内は騒然とし、みるみるうちに緊迫感に包まれていく。
(翔さんの乗った飛行機が……)
思いも寄らない事態に美羽から血の気が引いた。