極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

「いったいどんな――」


男性が続けたところでタイムアップとなった。


「はい! ではみなさん、お隣のテーブルへ移ってくださーい!」


進行役の男性に促され、銀行マンは「縁があったらまた」と言って隣へ移っていった。

その後もずっとそんな調子で男性との五分間トライアルは進み、結局ろくな会話もできないまま第一ステージが終わった。


「やっぱりこういうのは向いてないのかな」


休憩時間に向かったレストルームで、鏡に向かって本音が漏れる。

そもそも恋愛の場数もしみじみ踏んでいない美羽には、スタートダッシュが決め手のこういった場はハードルが高い。友人に誘われて何度か行ったことのある合コンも、似たような状況に陥り、うまく馴染めなかった。

過去にたったひとりだけいた彼氏は、大学時代に同じゼミに所属している仲間だった。告白されて付き合ったものの『美羽の趣味が理解できない』と振られ、ほんの二カ月足らず、それもキス止まりの恋愛経験だ。
< 30 / 283 >

この作品をシェア

pagetop