極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

その趣味とは、言わずと知れた〝飛行機フェチ〟である。そこまで理解され難い趣味だとは思わないが、彼氏よりも飛行機を優先しがちだったため、いよいよ愛想を尽かされた。

たとえ今日のパーティーでカップルが成立したとしても、また同じような道を辿るのではないか。

いや、それ以前にカップルにすらなれないかもしれない。恋愛スキルに乏しい美羽には、普通に恋人を作るのも婚活パーティーで自己アピールするのも、どちらも同じくらいに難しく思えた。


「はぁ……簡単に結婚できる魔法でもあったらいいのに」


ありもしないひとり言を呟いてレストルームをあとにする。

これから約一時間のフリータイムがはじまる。第一ステージで気に入った相手と長時間話せるチャンスだと、休憩前に司会者が声色高く言っていた。

でも美羽はそんな相手を見つけられなかったため、このあとの一時間をどう過ごせばいいのかわからず不安しかない。
 
いっそのこと今日はこのまま帰ってしまおうかとマイナス方向に考えながら、美羽がイタリアンレストランに戻ろうとしたときだった。


「藤倉さんじゃないか?」
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