極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
その指をたどってハッとさせられる。
なぜこのまま会場から出たの!と自分に対して腹立たしい。
「あ、こ、これはそのっ」
美羽の胸には、ハートをかたどったネームプレートが付けられていた。
〝藤倉美羽〟と名前が書かれたピンクのそれは、男女の出会いの場の参加者の象徴ともいうべきフォルム。美羽のすぐそばを通って会場に入っていった男性はブルーのプレートのため一目瞭然だろう。
こんな場所で知り合いに会うとは思わず、うっかりネームを付けたまま会場の外を出歩いてしまった。
「でも決して怪しいパーティーじゃないんです。結婚を真剣に考えている人たちの集まりですから」
マイナスイメージのほうが強い〝出会い系〟という言葉がいけない。関係性が希薄な相手とはいえ、憧れの翔に変な誤解をされたくないため急いで訂正する。
婚活パーティーだとばれたくなかったが、軽い感じのする出会い系よりはいい。……どちらも同じだと言われたらぐぅの音も出ないが。
「なにも怪しいなんて言ってないよ」