極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
店の外で待ち構えていた翔に伴われてロビーラウンジへ向かう。
三階まで吹き抜けになったそこは開放感があり、大きな窓の外には手入れされた中庭も見渡せる。
ほどよくクッションのある籐製のソファに翔と向かい合って座った。
「驚かせて悪かった。でも悪い話じゃないと思うよ」
コーヒーをふたつ注文し、翔が早々に切り出す。
悪い話ではないのかもしれないが、怪しさは満点だ。『俺にしたらいい』なんて、よく知りもしない相手に言える言葉じゃない。
「まずはキミが結婚を急ぐ理由を聞かせてくれ」
彼は組んだ手をテーブルの上にゆったりと置き、落ち着いた声で美羽に促した。
「兄を早く結婚させてあげたいんです」
そのひと言に尽きる。ほかに動機はなにひとつない。
「お兄さん? キミじゃなくて?」
意味がわからないようで、彼が眉根を寄せて首をほんの少し傾ける。
「じつは……」