極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

たしかにその傷は今でも左腕に残っているが、美羽自身はまったく気にしていないというのに。

むしろ負担になるのがずっと嫌だった。そんな過去の出来事は早く忘れてほしいと、いつも願ってきた。

このまま兄のお荷物でいたくない。優しい兄の足枷になりたくない。

そんな一心で『私のことなら心配いらないから』とリビングに突入し、気にせず結婚してほしいとお願いした。ところが妹の想いは届かず、大晴は頑として譲らない。

そこでつい言ってしまったのだ、『私も近々結婚するから』と。『だからお兄ちゃんも結婚して』と。

なんて大胆な発言をしてしまったのかと後悔したが、時すでに遅し。もろ手を挙げて大喜びする大晴に、『それならすぐにでも紹介してほしい』とグイグイ迫られる事態に発展した。

近々会わせるから待ってほしいとお願いしつつ、大急ぎで恋人を作ろうと奔走しているのが今の美羽だ。

美羽が結婚を急ぐのは、妹の左腕の傷など忘れて、大晴に安心して恋人と結婚してもらうためだった。


「結婚は、したくてするわけではないと」
「はい。結婚はまだまだ先だと思っていたので」
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