私の推しは世界一!!
「っ!?」
えっ?待って?えっ?
わ、私は、えっ?本当に!?
__恋、しちゃっているの!?
「なんだ‥‥‥。」
私、利穏くんのこと、好きだったんだ‥‥‥。
なのに、どうして。
あんなことを言っちゃたんだろう。
落ち込むな‥‥‥。
「な〜んて、嘘ですよ。先輩。」
「えっ?」
声がしたほうを見ると、笑いながら隣に座る利穏くんがいた。
こんなに純粋な笑顔の利穏くんは初めて見たかもしれない。
「い、いつの間に‥‥‥。」
「ついさっきです。そんな顔されたら行けないですよ。どこにも。」
「そんな顔?」
「残念そうな顔です。そんなに見に行きたかったのですか?あの映画。」
「まあ‥‥‥。うん。」
利穏くんと映画に行きたかったから、なんて言えないな‥‥‥。
利穏くんからしたら私は年上だし、付き合うとかの対象じゃないだろうし。
ははっ。
振られるの前提の片思いか‥‥‥。
「残念だな‥‥‥。」
「えっ?」
「俺に嫉妬してくれたんじゃないのかな、って思ったのに。」
「っ!?」
「えっ?先輩?まじ?」
驚いた顔の利穏くんからスッと目をそらしてしまう。
「あの先輩が!?」
どういう意味!?
「へ〜。嫉妬ね〜。」
なんか嬉しそうですね!!
ああ!!もう!!
返事もできないほど恥ずかしいんだけど!!
「先輩、嫉妬してくれて嬉しいです。」
「えっ、どういうこ、」
言いかけた言葉を遮るようにチャイムが鳴った。
「じゃ、行きますね!先輩!」
「え、あ、ちょっと‥‥‥。」
い、行っちゃた‥‥‥。
「どういう意味?」
そして、なんであんなに嬉しそうなの?
あれか!!
気になる子がいて、今から映画行けるか交渉できるから嬉しいの!?
「嫉妬、しちゃうな‥‥‥。」
利穏くんなら、どんな子だって落ちるだろう。
私みたいに。
嫌味さえ言わなければ完璧なのに。
「そういえば今日は嫌味がなかったな‥‥‥。」
いつもの嫌味がないから、余計調子狂っちゃうよ。
あれ?
もしかして、いつも嫌味言われてる私って嫌われている?
「マジか‥‥‥。」
ただでさえ不利な勝負にハンデを強制的につけられているって‥‥‥。
「そういえば、」
あの利穏くんの純粋な笑顔、見たことあった気がする‥‥‥。
いつだったけ‥‥‥?
『ありがとうございます。』
あれは‥‥‥。
誰?