棗ちゃんはステキな恋がしたい
やっと、会えたのに。
「ここはお前が来るような場所じゃねえんだよ」
そんなに迷惑だった?
勝手なことしたのは、申し訳ないって思う。
邪魔がられても当然だ。
それでもわたし
一斗にどうしても会いたかった。
ちゃんと話がしたかった。
「そんな言い方せずに優しくしてあげればいいのに。洲崎一斗くん」
「は?」
「はやくここから逃げて欲しいんでしょ」
…………!
「そうなの?……一斗」
「巻き込まれてんじゃねえよ」
一斗の不器用な優しさが、なんだかくすぐったい。
「そうか。洲崎くんの本命は彩姫ちゃんじゃなくてナツメちゃんの方だったのか」
「あ? なんの話だよ」
「なら彩姫ちゃんは、解放してあげる。その代わり――」
ふいに、銀髪さんに、肩を抱かれる。
「ナツメちゃんもらうね」
「……っ!?」
「てめえ」
「心配しなくても大切に扱うよ。真っ白みたいだからさ、この子は」