販売員だって恋します
「由佳ちゃん、ちょっとお話があるの。今日、一緒にご飯食べて帰らない？」
「いいですよ。」

仕事柄、帰宅の時間が遅くなることが多いので、食事をして帰ることは結構ある。

2人で活動報告をまとめて、着替えのために、更衣室に向かった。

「結婚することになって……。」
「え？！」

ある意味爆弾発言だ。
それは食事でもしながらゆっくり聞かないといけない。

見た目は、可愛綺麗な上司の元宮奏である。
しかし、その可愛らしい外見に反して、『男前』と呼ばれるその性格は、部下である由佳が誰よりも知っている。

イエス、ノーがはっきりしていて、ぱきっとした、竹を割ったような性格とはこのことか、というのを体現している人なのだ。

夕食を食べるために入ったのは、奏の知ってるお店だった。
由佳は初めて訪れたけれど、半個室が落ち着くデパートからほど近い、和食のお店だ。

程よいかっちり感と、程よいカジュアル感。
うん、いいお店と由佳は嬉しくなる。

落ち着いた明かりの中、キラッと奏の左手薬指に光るのは……。
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