販売員だって恋します
一緒にランチを食べた時、成田は奏をさらりと食事に誘っていた。
奏はないない!なんて笑っていたけれど…。

そうかあ……成田さん、頑張ったのね、と由佳は思った。

この奏の性格を知っていればなおさらである。

「成田さん、頑張ったんですね。」
「どういうこと?」

「だって奏先輩、ないない!とか、男は出世が大事なんだねーとか言ってましたよね。あのランチの時。成田さん、あからさまに誘っていたのに。多分あの時、成田さんはもう奏先輩のこと、気に入っていたと思ってました。」

決してお酒のせいではなく、奏はふわりと赤くなった。
「だって……そう思うじゃん。」
「だから、頑張ったって言うんです。」

むうーと膨れる奏は先輩だけれど、とても可愛い。

「そっか……幸せなんですね。」
「由佳ちゃん……?」

「奏先輩……私も、お付き合いしている人がいるんです。」
「え?」
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