販売員だって恋します
にっと笑った奏は、ピースサインをして帰って行った。

──なるほどね。翔馬さんも、由佳も惹かれるわけですよ。奏さん、かっこよすぎです。



翌朝、なかなかの頭痛で、由佳は目が覚める。
ん……頭いた。なんで……?

「ん……由佳、今何時……?」
横から聞こえる、よく響く声。

由佳はサイドテーブルのデジタル時計を確認する。
「え……と、6時20分……?」
「もう少し……。」
そう言って、後ろから抱き込まれてしまった。

──え?あれ?あれーー??

「あ、二日酔いですか?」
ベッドから起き上がった大藤は、由佳にコップに入れた水を持ってきてくれた。

このお部屋、このベッド……。
「飲みますか?」
こくこくっと頷いて、由佳はコップの水を一気に飲む。

──て言うか?!どういういこと?!
「き……おくが……」
「ああ、飛んでいる?でしょうね。昨日、奏さんとお食事にいって沈没したんですよ。」
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