販売員だって恋します
「っ……奏先輩!!」
「大丈夫です。ちゃんと、タクシーでお送りしましたし。それにしても由佳、珍しくないですか?」
由佳は大きなため息をついた。

「珍しいどころか、最近なかったです。本当に何年ぶりかしら。て……私、なぜここにいるのでしょうか……?」

「由佳に電話をしたら、ちょうど奏さんが出られて、由佳が大変だと言うので、迎えに行ったんですよ。」

あまりのことに、由佳の喉がひゅっとなる。

こ、怖い、日本酒……。

「そうだ、由佳、話しておかなければ。奏さんのご結婚される、成田翔馬さんですけどね、俺の雇い主のご子息です。パーティの時に会いましたよね?」

そう言われて、由佳はなんとなく思い出す。
あの日は、いろいろありすぎて……けど、思い出した。

大藤が呼んで、神崎と話をしていた人がいた。

「そうでしたね、成田さんでしたね……。あ、の時はいろいろ動揺していて。」
「そうでしたね。」
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