販売員だって恋します
由佳の方は、大藤がいたずらっぽい表情をしながら、ゆっくりファスナーを下げるのに、もうすでにごめんなさいと言いたいくらい恥ずかしい気持ちになっていた。

ファスナーの隙間から綺麗な肌と、下着が姿を現し大藤はその肌を指で辿る。
「日焼けあまりしていませんね、綺麗な肌だ」

「っ……久信さんっ……」
「海外なんてところにいて、目の前に水着の彼女がいるのに、なんで私は一人で寝ていたんでしょうね?」
その肌をすっと撫でて、そんな事を聞く。

「だって、みんないたから……」
けれど、そんなことは言うけど、物陰で結構際どいことはされたような気がするのだ。

「こんなことなら早く公表するのだったと、100回くらい思いましたよ。」
「100回って……」

「まあ、人目を盗んで……というのも燃えましたけど」

妖艶に笑う大藤が眼鏡を外して、洗面所にあるトレイにそっと置く。
緩く髪をかきあげて、由佳に笑った。

「俺はね、公表して構わないんですよ。」
「私もいいですっ。」

「ふうん?由佳が嫌なのかなって思ってましたよ。」
「そんな訳ないじゃないですか!」
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