販売員だって恋します
その翔馬の部屋は、物が極端に少なくて、翔馬にとっては落ち着く空間なのかも知れないが、生活感すらもどこかに置いてきたような雰囲気だ。

モデルルームのように整っているけれど、人を迎え入れるにはどうなのだろう、と大藤は密かに無菌室のようだ、と思っていた。

その翔馬が人を呼びたいと見たこともないような顔をして言うから、その彼女はどんな人物だろうか、と思ったのだ。

彼女自身は、大藤も自分の目で確かめた。
ちょっと可愛いくらいの普通の子だろう?が最初の感想だった。

翔馬は元々は成田家が保有していた老舗デパートの御曹司なのだ。

少し前にホールディングス化されたため、今は成田家で保有しているものではないが、一族は今でも経営に携わっているのは間違いない。

翔馬自身は、最近まで別の会社に務めていたのだが、祖父が亡くなったことと、ホールディングス化を機に、このデパートに転職して戻ってきている。

本人は顔立ちの整った両親の血を引いて、いわゆるイケメンなのだし、御曹司なのだし、とにかく彼を狙う女性は後を経たなかった。

けれど翔馬自身がそんな性格だったし、しかも潔癖なところがあるから、フランクに女性と遊ぶタイプでもない。
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