金木犀
ーside 湊ー


星南の出した決断にホッとしている自分がいた。


例え産みの親だったとしても、一度は星南を育てることを放棄した。


これは立派な犯罪でなんの罪のない星南の見えない心に傷をつけたことに変わりはない。



大切な人に向けられたその理不尽な言い分に腹を立てず受け流すことができるほど、俺はてきた人間じゃない。



公共の場でなければ、あの時星南の兄に手を出していたかもしれない。



初めて見た星南の弱々しい姿に、心が締め付けられていた。



星南に今夜はそばにいてほしいと言われ、ようやく眠りについた星南の頭を一度撫でてからベッドから離れ、星南の兄へ連絡を取った。



「夜分遅くにすみません。星南のお兄様の携帯で間違いないでしょうか。」



「星南の連れか。それでちゃんと同意書にサインしたんだろうな?」


「そのことですが。その話はなかったことにしてください。」


「は?」


「星南は、あなた方の勝手な理由で育児放棄をされてきました。それ以前に、星南は俺にとってたった一人の大切な女性です。


申し訳ありませんが、移植ネットワークからの順番を待ってください。


本来ならそうやって命が繋がれていくものです。


あなたの母親の主治医がどんな話をしてそういった治療方針になったのかは知りませんが、正式なルートでちゃんとした治療を受けてください。」



「ふざけんなよ…!」



「それから、これ以上星南を傷つけるようなことをしたら私が許しませんから。


それでは、失礼します。」



< 47 / 47 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:3

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

素敵な天使のいる夜にー4th storyー

総文字数/26,880

恋愛(純愛)26ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
病気は いつだって、私に牙を向いた。 それでもめげず、励まし支えてくれた人達がそばにいたから… 何度も生きようと、前を向いてここまで来られたんだよ。 笑顔で暮らせる日々が… どれだけ尊かったか…
すてきな天使のいる夜に~3rd story~

総文字数/47,044

恋愛(純愛)36ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
暗い夜道にいた私と 家族になってくれた紫苑と翔太。 あの頃の私は、自分の未来なんて思い描いていなかった。 だけど… やっと見つけることができた たった1つの生きる道を。
たった一輪の綺麗と呼ばれる花を。

総文字数/34,007

恋愛(純愛)27ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「人殺し!」 そう言って、私を睨む母親。 「なんのためにお前がいるんだ!」 そう言って、何度も叩く父親。 私には、生きる権利も 何かを決める権限もなかった。 生きている意味なんてないと思っていた。 モノクロの世界の中で あなたが、私に手を差し伸べてくれた。 あなたと出会って 私の人生は、色のついた世界へと変わったんだ。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop