憧れの陛下との新婚初夜に、王弟がやってきた!?
それから1週間ほど経った頃、陛下の叔父様に当たる、トルヴィアナ卿のお誕生日パーティーが、王宮からほど近い、離宮で開かれる事になっていた。
トルヴィアナ卿は、議会の中でも発言力が高く、先王陛下が退位されてから後は、まだ議会との力関係が上手く図れなかったユーリ様のよき相談役となって下さった方だ。奥様のオリヴィア様もとても気さくで話し好きな方で、王妃として初めて参加した奥様方のお茶会でもさりげなく私をアシストして下さったりと、なにかとお世話になっている。
ちょうど50歳という節目のパーティーと言うこともあって、私とユーリ様はご招待をありがたくお受けする事にしたのだ。
かなりの大きなパーティーとなるので、ユーリ様の体調や、身分を配慮して、私達夫婦の参加は最初から約1時間ほどとさせていただいた。
トルヴィアナ卿ご夫妻へ挨拶を終えて、パーティーが始まるのを見届けた頃、会場を行き来する多くの賓客の中に、ジェイドの姿を見つけた。彼も幼い頃から可愛がってもらっている叔父の誕生日パーティーにはもちろん参加するだろうとは思っていたけれど、不意にその隣にいる令嬢の姿を見とめて、胸の奥がヒヤリと冷えた。
「へぇ、珍しいね。ジェイドとレイリーが一緒にいるなんて」
私の視線の先に気づいたらしいユーリ様が、無邪気なお声で意外そうにつぶやいた。
ユーリ様とレイリーがそうであるように、ジェイドとレイリーだって再従兄妹に当たる訳なので、2人が仲が良くてもさほど不自然なものではない。よく見ればレイリーの手はジェイドの腕に添えられていて、2人が同行者である事は一目瞭然だった。
そこでようやく私は、このところジェイドが夜会に頻繁に出かけていた理由に合点が行ってしまった。
『レイリーに恋をさせる』
それを「俺に任せろ」と言ったのはジェイドだった。もしかして彼は、自らレイリーに近づいて…。
そこまで考えたら喉のがギュウっと閉まるように苦しくなり、涙が込み上げて来そうになって、慌ててその考えを思考の端に押しやった。
「アルマどうしたの?」
そんな私の様子にいち早く気づいたユーリ様が、私の手を取って優しく微笑んだ。
そうして、私の耳元にそのお綺麗な顔を寄せると。
「もしかしてヤキモチ?」
「っ…。」
どこか面白そうな声音で笑った彼女は図星を突かれて赤面する私を見て、目を細めた。
「ふふっ、可愛い!大丈夫だよ。きっと、なんか企んでるあいつ!」
そう言って私の手を取ると、チュッと手の甲に口付けた。
そのまるで王子様(いや王様なんだけど)然とした行動に、唖然としていると、少し離れたところで御令嬢の集団が「きゃぁっ!」と歓声を上げた。
よく見れば、私たち国王夫妻に一部の人々の視線が集まっていて。
なんというか…妊娠中の王妃を気遣いながらも、溺愛したくて仕方ない麗しい国王陛下のご様子に、当てられた人々が悶絶していらっしゃった。一昔前の私なら、彼らと同様に顔を真っ赤にして悶絶したかもしれない。そう言えば、王妃の妊娠の隙に公妃をねじ込もうとする者達だってこの会場にはいる事を思い出す。ユーリ様のこれだって十分国王夫妻の円満をアピールする機会を利用しているのだ。なんとか、私も気力を立たせて、ユーリ様を熱い視線で見つめてみる。そうすると、ユーリ様はにこりと笑って私の腰に手を回して引き寄せると。
「そろそろ疲れただろう?ダンスもできないし、そろそろお暇しようか?」
そう提案して下さった。
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