【完結】年上御曹司と始める幸せお見合い結婚



 するといきなり、わたしのスマホが手から離れてなくなった。そのスマホを取り上げたのは、梓さんで。いきなり梓さんは、電話越しのお母さんを相手にこう言ったのだった。

「お母さん、すいません。俺、高木原梓です。昨日は連絡もなしに、本当にすみませんでした。 実は俺が美鈴さんのことをあちこち連れ回してしてしまったせいで、美鈴さん、途中で体調が悪くなってしまって……。それで急遽、近くにあったホテルに泊まって、美鈴さんを休ませることにしたんです。 お母さん、本当に俺のせいですみませんでした。ご迷惑をかけてしまったこと、心よりお詫び致します。……今度は二度と、このようなことがないように気を付けますので。 ですので、美鈴さんのことを責めないであげてください」

 そう言った後、少し間を開けてから梓さんは再び言葉を発した。

「はい。俺が家までしっかりと送り届けますので……。本当にすみませんでした。ご心配をおかけして。……はい、分かりました。では、失礼致します」

 そう言って電話を切った梓さんは、わたしにスマホをはいと手渡した。
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