【完結】年上御曹司と始める幸せお見合い結婚
「はい。お母さん、許してくれたよ」
そしてそう言ってニコリと笑った。
「……あ、ありがとう、ございました。すみません。あんなこと言わせてしまって……」
なんだか、梓さんが悪者になってしまった。申し訳ない。
「いいんだ、気にしないで。事実、俺が連れ回したのは本当だしね?」
そう言って梓さんは、わたしの頭を優しく撫でてくれた。 こんな時でも、わたしは梓さんに胸がときめく。そしてキュンとした。
「……いえ、梓さんは悪くないです。 わたしも、自分の意志でここにっ……」
「ストップ。そこまで」
わたしの言葉を途中で遮った梓さんは「それ以上、何言わなくていいよ」と言ってくれた。
「……梓さん」
梓さん、あなたはどうしてそんなに優しいの……? 優しすぎて、困ってしまうよ。
「美鈴、今日だけは俺が悪者になりたいんだ。君を連れ回して、君のキレイな体と心を奪った彼氏としてね?」
「……ありがとうございます。梓さん」
「ううん」
梓さんの優しさが心に染みて、わたしはさらに梓さんのことを好きになったような気がした。