私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
次第に張り上がる竜樹様の証言の声に、ザワザワと落ち着かなくなっている傍聴者の観衆。
そんな中でも、有り難き天導師様の発言に誰もが注目する。
「私が調べたところ、この【被毒術式】の術陣は、月輪界の神術士に代々受け継がれている術陣でした。話によると、月輪界の神術士は神族ではありません。神力の分子の大きさ、掌中するその流れが、そもそも我々神族とは全く違うので、術陣が複雑化している……と」
その時、観衆のどよめきがここ一番にワッと膨れ上がったのは、言うまでもない。
「天界の術陣ではない?!」「どういうことだ!」「なぜ、そんなものが姫君を!」……など、傍聴の観衆の疑念の声が、真相の暴露と共にどんどん大きくなっていた。
さすが、竜樹様。喋っているうちに、次第に口調が強くなっていて、身振り手振りも出てきていた。
天導師という肩書きとあざとい独演で、観衆を取り込んでしまったのだ。
演技の表現が上手すぎる。……ホント、末恐ろしい少年だ。
そして、『話によると』の助言者は、恐らく聖威なのだろう。