私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
しかし……確かに。聖威の使う神術、奥義は、私の知識の中ではどれもお目にかかったことのないものばかりだった。恐らくそれは『月輪界の神術士が使う神術』なのだろう。
天界では使われることのない、異世界の神術の術陣。
そんなものが何故、この天界に紛れ込んでいるのか。神術の知識、心得がある者なら誰しもが疑問に思うはず。
有り難い御方の迫真の演説で、観衆はこっちの流れに飲み込んだ。
そして……これを訴えかけることの目論みは、私の毒殺未遂の冤罪はもちろん……。
……架威に揺さぶりをかけるという目的もある。
さあ、反応はどうか。
「……」
架威扮する韋駄天様は、依然として一言も発さず。
しかし、先程よりも更に目が見開いているもうにも思えるが……目付きの鋭さから、怒りが見て取れる。
肌を掠める寒気。思わず、体がゾクッと反応する。
少しばかりの変化があるようにも思えた。
だが、それを感じ取ったのは私だけではない。
「……おや?韋駄天様。だいぶ前からだんまりとされてますが、異議はないのですか?」
そんな韋駄天様の様子にニヤニヤとしながら語り掛ける竜樹様。