まるごと愛させて
さよなら
「唯さん、ひとまずこれで冷やして下さい。」

アランが戻ってきて、コンビニで買ってきてくれたであろう、氷を手渡してくれた。

「あ、あとこのタオル使ってないから。」

そう言ってカバンからタオルを取り出して、
一緒に渡してくれた。

「ありがとう。ほんとに迷惑かけてごめんなさい。」
「謝らないで。さっきも言ったけど俺がしたい様にしてるだけだから。」



ーーーー

「私ね、あの人と3年付き合ってたの。けどこれまで何回か浮気されて、昨日もそれでヤケ酒。ほんっとに情けない。」

「今までも手を挙げられたことあるんですか?」
「んー、興奮すると何度かね。大丈夫です。グーでされたことはないからそんな大怪我になったこともないし。」

きっと、和樹からするとなけなしの理性を働かせてたんだろうな。

「そんなの、関係ないですよ。男は女の人を守る為に力を使うべきなのに。…これも兄貴分の受け売りなんですけど。」

「ははっ。アランホントにありがとう。仕事戻らなくて大丈夫??」

「唯さん、無理に笑わなくてもいいですよ。」 

やだなぁ。
なんで気づいちゃうかなぁ。。

「…アラン、10分だけ肩貸してくれる??」
「どうぞ。」

となりに座るアランの方に寄りかかった。
今日で和樹の為に泣くのは最後。
ーーーーーさよなら、和樹。

アランに寄りかかりながら静かに3年分の涙を流した。



「落ち着きましたか?」
「はい。」
「唯さん、俺、唯さんを守りたいです。好きなんだと思います。」

ーーーえ。

「すみません、傷ついた唯さんにこんな事言って。でも、返事をして欲しいとかじゃないんです。昨日会ったばっかりで自分自身が一番驚いてるんです。唯さんが傷ついてるなら俺が近くに居て守りたいです。」

アランの肩からバッと離れ、顔を見上げた。

「あ。今あんまり見ないでください。」
フィっと顔を背けられてしまった。
「アラン。…私、たった今別れたばっかりで、なんて言うか、すぐに。とかはちょっと無理だけど、お友達からでもいいですか?アランの事もっと知りたい。」

それは素直な私の気持ちだった。

「はい、充分です。そろそろ送ります。…あ。すみません。送りたかったけど、戻らないと。」

チラッと腕時計で時間を確認した。

「あ、大丈夫です。まだ早いし1人で帰れます。」

「ダメです。そんな顔で電車に乗らないでください。タクシー捕まえます。」

えぇっ。
私そんなひどい顔してるかなぁ。

「唯さん行きましょう。」

アランが立ち上がったので、私も立ち上がると背中に手を当てられてタクシー乗り場まで誘導される。

「…アランは心配性ですね。」
「しますよ。もう決めました。」

え?決めたってらなにを?? 

「あ、すぐ来てよかった。唯さん乗って下さい。」
私がタクシーに乗り込むと、
「運転手さんお代はこれでお願いします。じゃあまた連絡します。」

そう言うと、バタンとドアを閉じてしまった。

えっ?えぇ。
お礼すら言わせて貰えなかった。

「お客さん、どちらまで?」
「あ、⚪︎△までお願いします。」

車の外を見るとアランが手を振っていたので手をぶり返すとタクシーが発進した。
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