青は、僕等に微笑まない

「ていうかそもそも二人はなんで喧嘩してたの?」


愛ちゃんが、首を傾げる。

『喧嘩して疎遠になってる異性の幼なじみが居る』って愛ちゃんに伝えたことはあったけど、深く話したことは無かった。

……とは言っても、


「私もわかんないんだよね」

「え、」

「その日 由佐の部屋で一緒に映画見てたんだけどね。たぶん途中で私がなにか由佐の気に障ることしちゃったのかなぁ。急に由佐が怒っちゃって。アハハ」


口に出して言ってみたらその時の光景が鮮明に脳内に映し出されて、またほんの少し心がズン、と重くなる。

でも、ぜんぜん平気なレベル。
昨日由佐が、私のこと大事だと言ってくれたから。


「え〜〜。もっとなにそれって感じなんだけど」

「あ。なんかね。理性のせい、とか言ってたよ。でも私よくわからなくって。
愛ちゃんはどういう意味かわかる?」


鞄から教科書を出して机の中に移し替えながら、愛ちゃんに何気なしに聞いてみた。

そしたら愛ちゃんが、

「えっ」

って大きな目をぱちくり。



「田口君がそう言ってたの?」

「うん」
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