男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
「……サイラス様、私は母の愛を知らずに育ちました。さらに母は知らぬ間に若い情夫と共に亡くなっていて、私たち母子は最後まで分かり合う機会が持てないままでした。そんな私がきちんと母親になれるのか、正直不安もあります。もしかすると、私は至らないところばかりかもしれません。……だけど、精一杯の愛を注いでこの子を大切に育てていきます」
「ならば、同じだな」
 嗚咽混じりで告げた私の決意に、サイラス様は温かな眼差しでこんなふうに答えた。
「同じ、ですか?」
「俺とて乳母の乳を含んで育ち、両親の腕に抱かれた記憶はない。だが、そもそも最初から完璧な親などきっといない。俺たちはふたりで、一緒に親になっていけばいい」
 続いて語られた言葉に、一旦止まったはずの涙が再び溢れだす。
「……あなたを父に持って生まれるこの子は、なんて幸せな子でしょう」
「たしかに、我が子の幸せを願う心に相違はない……。だが、俺はお前を誰よりも幸せにしたい」
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