男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
 真摯な光を湛えたアメジストの瞳が真っ直ぐに私を映す。その瞳がゆっくりと私に迫り、吸い込まれそうに近くなる。
「俺の妻となり、お前が誰よりも幸せに暮らしていけるよう、生涯をかけて証明せねばならんな」
「断言できます。こんなにも深くあなたに愛されて、望まれて、私は誰よりもしあわ……」
 最後まで言い終わるより前、しっとりと唇を塞がれて、言葉の続きは吐息ごと口内に吸い込まれた。
 これ以降、ふたりの間に言葉はなかった。私たちは何度となく柔らかに唇を重ねて温もりを伝え、溢れるほどの愛を確かめ合った。


 妊娠の発覚から、私を取り巻く環境は目まぐるしく変化した。
 サイラス様は翌日には、私との結婚を国内外に広く知らせた。懐妊についてはドクトール様の進言により、安定期に入るのを待って発表することになった。
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