男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
「ああ、目もとがセリーヌによく似ているな。きっと長ずれば、美しく聡明な男になるぞ」
 赤子を覗き込み、サイラス様が嬉々として声を上げる。
「まぁ、サイラス様ったらずいぶんと気の早い……」
 ……嬉しかった。そして、誇らしかった。
 こんなにも愛しい人の子を、私が産んだ。さらに私の胸の中では可愛い皇子が顔をクシャクシャにして元気な泣き声を上げている。目の前の幸福が長く苦しかった出産の疲れも一瞬で吹き飛ばしてしまうくらい、心と体にパワーをくれる。
「あなたの言葉通り、私は誰よりも幸せな妻に、そして誰よりも幸せな母になれました。すべて、あなたのおかげです。サイラス様、ありがとうございます」
「馬鹿を言うな、俺は『生涯をかけて証明する』と言ったはずだ。俺はこれから、もっともっとお前を幸せにする。だから、こんなのは序の口だ」
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