男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
 生まれたばかりの赤ん坊を腕に抱いたセリーヌは神々しいほどに美しく、まるで彼女の周囲が光り輝いているかのように見えた。
 真の強者とは奪うばかりの男ではなく、生み出す女性たちなのかもしれないと、すっかり母親の顔になったセリーヌを眩い思いで眺めながら感じた。セリーヌに、そしてすべての女性に、尊敬の念が湧いた。
 俺は言葉を尽くして心からの感謝を伝え、出産を労った。セリーヌはそれに柔らかに笑んで応えた。
 そんな穏やかな会話の中で、突然彼女の口から母の名が出たことに、驚きは隠せなかった。
「呼んでいただきたいのはお義母様……皇太后・エリザベス様です」
「……母をここに?」
「はい。両親である私たちの次にこの子を見て欲しいと思うのは皇太后様です。なにより皇太后様は、サリー様の刃から身を挺して私を守ろうとし、産気づいた私にいち早い配慮を示してくださった恩人でもあります。私は皇太后様に、この子の誕生を祝福してもらいたいです」
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